成長発育期の子どもでは、あごの骨も成長しながら歯が生え変わっていきます。咬み合わせの問題や口元の癖(悪習癖)などを放置していると、これらの問題に応じた不正咬合に成長してしまいます。
子どもの時期からの矯正では、良好な顎顔面の成長発育となるように働きかけることで、将来の永久歯の咬み合わせの問題が少なくなるように手助けします。結果的に、大人になって不正咬合で固定されてからよりも、スムーズ・良好な矯正が可能です。
子どもの矯正治療では、将来の永久歯列期の矯正治療を前提としていますので、成長発育段階にあわせて進めます。この時期に適切なタイミングで矯正治療を行うことにより、将来的に歯を抜く必要がなくなったり、治療が簡単になったり、治療期間が短くなるなど、得られるメリットはたくさんあります。当院では、お子さまになるべく負担の少ない矯正装置を用いて短期間で効率よく治療を行うことを心がけています。
成長発育に伴うあごの骨の成長や歯の生え変わりなどにより、こどもの歯並び・咬み合わせ・顔のバランスは変化していきます。そのため矯正治療では患者さまが気にしている点以外にも、今後の変化も予測しながら順序良く成長発育のタイミングに合わせた治療をする必要があります。
不正咬合のタイプと、それぞれのお子さまの成長発育のタイミング、個人差などにより、治療の時期や内容などは変わってきますし、使用する矯正装置も異なります。
上顎の前歯が4本生えてきた頃には一度矯正のご相談をお勧めします。不正咬合の状態により、すぐに治療開始とならなくても、矯正治療の必要性や時期などの目処をつける、という意味からも有意義と思います。
子どもの不正咬合の中でも、受け口(前歯の反対咬合)や交叉咬合(奥歯の咬み合わせが横にずれている)の場合は、あごの骨の成長に悪影響を及ぼし、骨格のずれを増悪する要因となりますので、治療に適切な時期を逃さないようお気づきになったらすぐに、早期にご相談ください。
当院では8歳から9歳、前歯が4本そろったところで行う第1期治療と、成長がある程度落ち着いた中学生後期ころから行う第2期治療に分け、第1期治療と第2期治療の間は定期的な成長観察・口腔管理を行っております。
2段階に分けて行う治療により、それぞれ適切なタイミングで最も効果のある治療を効率よく行うことができます。治療のタイミングを見極めず、やみくもに治療を始めてしまうと、治療期間が長引きお子さまの負担は増えるばかりか、むし歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。ただし、症状によっては、第1期治療から続けて第2期治療に移行したり、第1期治療を行わず第2期治療で全ての問題を解決したりする場合もあります。
成長期の子どもは骨が大人に比べると柔らかく、矯正治療により大人の歯のスペースを確保することができます。将来的に歯を抜かなくても、歯を並べられる可能性が大きくあがります。
ただし、あごの拡大には限界があります。診断時に、将来歯を抜く可能性が高い場合には、無理に第1期治療を行わずに第2期治療ですべてを治す場合もあります。
出っ歯や受け口などは骨格的な問題によることも多く、成人の場合には手術を必要とする患者さまもいます。成長の残された子どもの時にアプローチすることができれば、骨格的な改善を図ることが可能になります。
咬み合わせの悪い状態は、どんどん悪い状態になったり、放置することで正常な成長を妨げ、新たな問題を生むことにつながることがあります。早めに改善することで、望まない成長を防ぎ、正常な成長へ誘導することができます。
指しゃぶり・爪を噛む・唇を咬む・唇を吸うなどの「癖」は歯並びや咬み合わせにも影響します。成長期の子どもでは特に悪影響が大きいので、口元の癖があるようでしたら早急に解消する必要があります。
歯並びや口元を気にしている方の中には、人前で思い切り笑えないといったコンプレックスによる精神的なストレスを抱えている方が沢山いらっしゃいます。矯正治療できれいな歯並びを得ることにより、健やかな精神発育を促します。
子どもの治療(第1期治療)だけでも十分なお子さんはいらっしゃいますが、もし大人の矯正治療が必要な方でも、治療の難易度を下げることにつながり、治療期間も短くなります。